入学式挨拶

本日,日本武道館で法政大学入学式が執り行われました.デザイン工学部長として短い挨拶をしたのですが,恥ずかしながら少々トチりました.もともと用意していた文章を載せておきます.

新入生のみなさん,ご家族のみなさん,ご入学おめでとうございます.
「デザインとは何か」という問いにはたくさんの答えがあります.私の答えのひとつは「人々の幸せを増やすために,具体的なモノや空間,仕組みを作り出すこと」というものです.その例を一つ紹介します.

この入学式が終わると,皆さんは田安門から外に出ます.正面の坂道を右に下ると九段下駅,反対側の坂の上を見ると,桜の咲く千鳥ケ淵と坂道の間に細長い九段坂公園があります.この公園は2年前に改修され,桜を眺めながら歩いたり,今日のようなイベントの後に人が余韻を楽しむことができるように考えられています.デザインしたのは本学兼任講師の先生,私もそのサポートをしました.

今日はあいにくの天気ですが,帰りに皆さんに立ち寄ってもらい,入学した喜びを友人・ご家族と分かち合って少しでも幸せを増やしてもらったら嬉しいです.

デザインについて,皆さんと直接話ができることを楽しみにしています.

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2年ぶりのゼミ合宿

ゼミ合宿と言っても、法政景観研のゼミ合宿は研究発表をするのではなく、巡検とか視察とか見学と呼んだ方がふさわしい内容です。

毎年8月か9月に行っていたゼミ合宿。昨年は泊まりのフィールドワークが禁止され、佐原と潮来に日帰りで行きましたが、研究室最大の行事(卒論とか学会発表ではない)が中途半端に終わる不完全燃焼感はとても残念なものでした。夕飯を食べようと入った飲食店で「県外の方はちょっと」と断られたのも印象に残っています。

今年はギリギリまで粘ろうと、実施日を9月に延ばしましたが感染拡大が収まりません。でもみんなでいい風景を見に行きたい気持ちも収まりません。「中止じゃなくて延期!収まったら冬でも行く‼︎」と宣言しました。

そして10月からの大学の活動制限緩和。絶対行くぞと合宿係の学生に無理を言って、宿泊先や食事場所を確保してもらい、訪問先の皆様にも急なスケジュールを受け入れていただいて、11月6日から8日まで、2年ぶりの合宿を実施してきました。3年生も配属済みだったので、希望者は参加してもらい、イタリアからこられている客員教授のオリンピア・ニーリオ先生も参加して、B3からM2まで総勢25人で熊本・阿蘇・高千穂を巡ってきました。雨・晴・雨と天気はイマイチでしたが、とても充実した3日間でした。

印象に残った写真を何枚か載せます。

出発直後、空から施工中の多摩川スカイブリッジを眺める。
デザインに関わってますがいろいろ苦心中。
通潤橋と田んぼ。ポンプがなく位置エネルギーだけで
水を得なければならない時代の執念。
文化的景観はその時代の合理的選択の積み重ね。維持に機械力は必要。
鮎の瀬大橋。大野美代子さん設計。このオレンジは自分ならとても選べないが、山深いこの場所の生活を勇気づける色だと思う。
鮎の瀬大橋のたもとにあった「十周年記念碑」竣工記念ならともかく、十年後にこんな碑が建てられるとは、それだけ地元の皆さんに必要とされているということなのでしょう。
熊本市電。機械の味のある感じ。触りたい。
白川緑の区間。木が先に決められて、道がそのあとに決められたデザイン。
災害をそのまま固定しようとする土木技術への違和感。
高千穂神社境内。掃き寄せた銀杏の落葉の鮮やかさ。
高千穂峡で雨の中ボートに乗る。雨だか滝だか川だかわからないが、とにかくびしょびしょ。(楽しかった)
南阿蘇の風景はホッとする。
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原風景

担当科目の試験問題(サービス問題)に「あなたにとっての原風景を述べよ」という問題を出したら、後日学生から「フクイセンセイの原風景はどんなですか」と質問されました。

私は東京都杉並区の出身で、武蔵野台地の耕地整理された農村が市街化した住宅地で育ちました。所々に立派な林を伴った地主さんのお屋敷がありました。通っていた幼稚園はそうした地主さんの経営で、時々園庭の奥の竹林に入れてもらうイベントがあった様に覚えています。だから、普段入れない立派な林とか竹林が点在する住宅街が私の主要な原風景です。

また、当時は空き地や原っぱもまだ残っていて公園以外の遊び場になっていました。有刺鉄線の隙間から入り込んで、そこにあったドラム缶やトタン板で友達と秘密基地も作りました。

残念ながら川については改修されてコンクリート3面張りになったものしか記憶にありません。水辺なんていうレベルではなく、ふだんは5mもしたに水面があり、大雨の後には泥水がどうどうと流れるような水路です。冬場の冷え込んだ日には凍ることもあったので、小学校の登校途中に石を投げ入れて割って遊びました。7歳年上の兄は改修前の川をおぼえていると言っていました。川に開眼するのは40を過ぎて四万十川や郡上八幡に関わる様になってから。いい川の風景を原風景に持っている人は羨ましいです。

コロナもあって、しばらく川に浸かってないな。来年の夏は川に行きたい…

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2021年度景観研パンフレット完成

あっという間に春学期が終わり,今年も3年生向けの研究室紹介の季節です.研究室紹介ではここ数年修士1年生が中心になって作ってくれた紹介冊子を配付してきました.しかし昨年(2020年)から新型コロナ感染症対策のため,オンライン説明会になって資料配付ができなくなってしまったので,ここにpdfをおいてダウンロードしてもらう方式にしています.

今年のM1は伝えたいことが多くてページが増えてしまい,なかなか完成しなくて苦しんでいましたが,苦しんだ分だけ充実しています.

・年間スケジュールのページ:詳細がわかるようになった!」
・「大学院って,どんなところ」:大幅充実!
・景観研人脈ネットワーク:新規コンテンツ!
・全体に研究室活動のビジュアル増量!

などなど,都市環境デザイン工学科3年生とこのページをご覧の皆様に贈る,法政景観研M1の汗と涙の結晶をご覧ください.

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卒論草稿あるある

草稿をチェックしているときに,はじめから伝えておけばよかった,草稿を書きながら頭の隅にいれておいて欲しかったと思うことをまとめました.自分の博論でもできていない心当たりがありますが,まあそれは15年経って成長したということで.(時々見直してリバイスします)

草稿執筆着手〜締切

ていうか,どうすりゃいいのか見当がつきません.先輩の卒論をマネすればいいですか?
→まず,論文特有の文体を意識してください.これはちゃんと既往研究レビューしていれば身に付いているはずだけど,自分で書く気になってもう一度見直してください.
構成のサンプルとしては,研究室の本棚にある先輩の修論や,何冊かある景観分野の博士論文を参考にしてください.卒論はそれなりにがんばった成果ではありますが,景観研では毎年卒論のレベルを上げているので「このくらいでいいのだ」という到達目標点にはなりません.

このままだと締切までに半分しか進まないです
→草稿を出してもらう目的はいろいろありますが,おおむね以下の通りです.
1)これまでの研究作業から,卒業論文としてのフォーマットに載せ(これは結構大変な作業),本文作成のプロセスに移ること
2)残り1ヶ月あまりで,どこまで到達しなければいけないかの具体的な道のりを把握すること
3)ゼミでは把握できない研究データの全体像や分析・考察の詳細を確認すること
4)緊急手術の必要性を検討すること
だから,途中の図表が完成版でなくても,かならず結論まで書ききってください

ぶっちゃけ,草稿がテキトウでも,本番までに間に合えば大丈夫ですよね
いいえ.それは全くもって考えが甘いです.あまりひどい草稿は受け取りません.
草稿を完成させられないということは,本論の提出もかなり厳しいと考えてください.草稿は指導教員が内容を確認し,真っ赤にコメント(文字修正ではないレベル)が入って戻ってきます.草稿出せたらちょっと修正して終わり,ではないのです.草稿の段階で全体像がチェックできないような状況であれば,卒論の完成・提出は危ういです.脅しではありません.

背景・目的

他の文献からの引用をきちんとしろと言われたのですが,どのようにすればいいのかよくわかんないです
→「どこからどこまでの範囲が」「誰の何という文献から引用したものか」が明確にわかることが条件です.引用部はいっさい改変せずに原文をそのまま使うことが重要です.引用部は明確にして「 」にいれるとか,斜体にするとか.長ければ段落ごとインデントするなどの方法があります.書き方の例としては

福井は,景観研究室の卒業生はみな優秀というわけではないが愛すべき存在であることは間違いない8)と述べている.これに対し荻原は,愛すべきかどうかはどーでもよくて,とにかく調査依頼のアポを取ることが重要9)という.これらから景観研究室に関する研究は混乱を極めていると言わざるを得ない.

景観研究室研究は混乱を極めているのが現状である.主要な言説として,福井(2020)8)の「景観研究室の卒業生はみな優秀というわけではないが愛すべき存在であることは間違いない」とする説や荻原(2021)9)の「とにかく調査依頼のアポを取ることが重要」とする説がある.

など,文章のスタイルとしても引用していることを明示するのがポイントです.一方,ダメなのはどこからどこまでが誰の引用で,何が著者(研究者)の意見なのかも判別がつかないものです.

(2)景観研究室研究の現状8)9)
景観研究室の卒業生はみな優秀というわけではない.それはともかく調査依頼のアポを取ることが重要であることから,景観研究室に関する研究は混乱を極めている.

引用の仕方はわかりました.でも読んだ文献が多すぎて,どこから引用したのか忘れました
→それはいちからやり直すしかありません.見逃すことはできないし,救済手段もありません.卒論を始めるに当たって注意したはずです.

「本研究の目的は,○○について調査し,××法を用いて分析し,その結果を考察することである」これで目的は完璧だと思います
→書き直してください.それは研究の手順です.調査・分析・考察するのは手段であって目的ではありません.目的に書くのはたどり着きたい答え,知りたいことが何かについて書くことです.目的の書き方は査読付き論文(※)をいくつか調べてみてください.たとえば次のように.
「本研究の目的は,法政大学景観研究室における卒業論文のテーマがどのような判断基準により決定されているかを明らかにすることである」
「本研究は,日本国内の土木景観を取り扱う研究室における卒業研究テーマ決定時の学生希望と教員意向の関係について明らかにすることを目的とする」
※査読付論文:論文の内容を数名の研究者がチェックした上で必要な修正を加えてはじめて論文集への掲載が認められた論文.たとえば「土木学会論文集」など.景観研の学生の投稿が多い「景観・デザイン研究講演集」は自由投稿で,査読付きではない.

既往研究レビューと研究の位置づけ

既往研究は分野ごとに1編くらいずつ載せました
→勉強不足・作業不足.1編の論文を読んだら当然参考文献は載っているはずで,そこから芋づる式に何編もの論文や書籍が浮かび上がってくるはず.それは春学期に言ったよねぇ.

とりあえず読んだ論文をグループ分けして紹介しました.
→既往研究レビューは研究紹介ではない.その研究の問題意識や立脚点を明らかにした上で,どのような方法でどのような成果をあげているのか.それが自分の研究との関係でどのように解釈できるのかを書く.自分の研究のスタート地点として,ここまでわかっている,ということを説明するものだと考えてもよい.

既往研究を並べて「○○をやっていない」とディスっておき,「だからこの研究をやります」と書きました
→既往研究にはその研究なりの問題意識や背景目的があるので,そういう批判は適切ではない.既往研究に敬意を持ってその到達点を肯定的に紹介しましょう.
既往研究レビューのあとには自分の研究の位置づけを説明することになりますが,それは「既往研究でやってないから」だけでは不十分です.自分の研究は既往研究と同じ立場の延長線上にあって新しいデータや分析の方法でより深い結果に到達しようとするとか,あるいは別の問題意識によってデータを改めて見直すのだとか,そういう説明をしましょう.
考察や結論の段階では,既往研究で言われていることとの関係も説明できるとよいですね.

研究の位置づけとか何のことかよくわかんないんですけど
→「研究の位置づけ」は難しい概念だから,初めて研究論文を書くのに始めからわかっているはずはないと思います.わかってたら凄いですし年齢・経歴の詐称を疑います.
「研究の位置づけ」では,これまでの知の蓄積がどうなっていて,それに対してこの研究が何をどのように付け加えようとしているのか,を丁寧に説明してください.もうすこし具体的にいうと,土木学会論文集の査読要領の評価の観点には「新規性」「有用性」「完成度」「信頼度」があり,それぞれいくつかの具体例があげられています.研究の位置づけはこのうち,新規性と有用性の項目に関連したことを説明してくれればよいと思います.
なお,土木学会論文集の査読要領をざっと読んでもらうと,研究論文としてどのような点に注意しなければならないかがわかるので,一度見ておくとよいと思います.
※査読要領が公開されていないような論文集は一般にレベルが低いので,その点にも注意してください.

研究方法・研究構成

どういう調査(実験)をして,どう分析して研究を進めるか宣言しました
→もちろん結論はそこなんだけど,研究目的を達成するために考えられる手段のなかで,この研究で用いる方法が妥当であることを説明したい.たとえば研究対象の特性や資料の存在,データ取得上の制約条件などから,どうしてこの研究手法(データの取り方,処理の仕方など)をとることがふさわしいのか,ということを含めて説明してください.
既往研究が採用している方法にも言及して,この研究の目的達成の観点から優れていることを説明できるとなおよいですね.

なんか作文がやりにくいです.言葉遣いとかどうしたらいいのか
→この辺で考えておかなければいけないのは,研究のキーワードとなる用語や概念をきちんと整理・定義しておくことです.既往の研究や文献での使われ方も確認したうえで.自分の研究での用語の定義や似たような用語を統一することを考えましょう.研究にとって大事な概念を整理することは研究の構成を考えることに直結するので,作文はやりやすくなるはずです.
たとえば「橋詰」「橋詰空間」←どの範囲まで差すの?違いは?
「市街化」「都市化」←同じものを差している?
「河川空間」←どこの範囲までが河川空間?
「背後地」←どう定義する?空間的に決められるもの?

対象の選定

調査(実験)の対象はいろいろ考えて絞り込みました
対象を絞っていく手順はしっかり説明しなければなりません.絞り込む前のリストをどう作ったか,絞り込みの基準は何か,絞り込んだ結果はどうなったかなど,合理的に理解できるようにしてください.

調査・実験・分析

調査(実験)の手順から書き始めました
→調査・実験は,研究の根幹をなすデータを取得する作業であり,ここがいい加減だと研究全体の信頼性にかかわることになります.だから丁寧に説明し,情報を具体的に見せる必要があります.いきなり手順を書いてしまいがちですが,その前に「どんな情報・データを得ようとするのか」を具体的に説明することが大切です.読む側に「ああ,そういうデータをとりたいのね」とわかってもらえるように.それが「調査(実験)の目的」です.
「やったことを並べて書くだけでは論文にならない」ということは覚えておいてください.

研究の目的と調査(実験)の目的は同じじゃないんですか?
→違います.たとえば,研究の中でアンケートを取るとします.アンケートの目的は(研究の目的を達成するための)データを取ることです.
研究の目的を達成するために,どんな情報が必要で,何をどのように調査(実験)することでそれを得ようとするのかを明確にしてください.

とにかく成果重視で,分析図表をばっちり載せました!
→ちょっとまって.その根拠になってるデータは取得方法や集計方法などを含めて卒論の中で確認できるようになっていますか?論文の根幹をなすのは,正当なデータづくりと操作過程がきちんとわかる分析です.データがどのように取得され,どのように加工・分類されていくのかが読者にわかるようにしてください.元データは大切なのできちんと保管を!

集めたデータの中で都合の悪いものは省きました
→これは要注意.新型コロナウィルスワクチンの治験でこれをやったら大問題ですよね.同じことが景観の研究でも言えます.特定の外れ値が結果に不当な影響を与えることはありうるので外れ値を除いて分析することはありえますが,これをやるときには指導教員と事前によく相談してください.

アンケート結果を項目ごとに集計してグラフにしました
→うん,それは集計ね.分析の前作業です.単純集計で割合がどうなっているのかというのは基礎情報ですが,それを使ってクロス集計(調べてみてね)して,2つの回答がどのように関連しているのかを確認してみることでアンケート結果から得られる意味に迫りたい.

考察

調査(実験)結果を分析してみて思ったことを書いてみました
→考察は調査(実験)結果を抽象化して意味を与える作業です.得られたデータを参照し,それが指し示す意味を説明してください.データに言及しない文章は信頼性・合理性に欠けるため極端にいえば感想文です.せっかく苦労して集めたデータ,分析した結果を大切に使ってください.

これは私が考えたことなんですが…
→研究論文なので,考察には論拠が必要です.どうしてそのように判断できるのか,読む人が合理的に判断できる材料を示す必要があります.あなたがそう考えたとすると,それは妄想ではなくて何かしらの根拠があったはずです.それを丁寧に説明してください.

考察は抽象化だと言われたのですが,データの傾向を説明しさえすればいいんですか
→ひとつひとつのデータや情報を数量に置き換えたり類型化したりして大きな傾向を説明するのはデータの読み取りの中核をなしますが,常に元のデータと行き来して説明できるようにして欲しいです.たとえば「このグラフから○○○の傾向があると言える.具体例として△△△が◆◆年頃に×××した例や,ーーーが調査期間全体にわたって継続的に☆☆だった例がある」のように.

図表のタイトル

図表タイトルは仮なので許してください
→図表のタイトルは,作業内容ではなく主題を示してください.図表が単体で引用されても意味が伝わるように名付けること.それから表のタイトルは表の上,図のタイトルは図の下におくと慣習的に決まっていますので従ってください.
残念なタイトル例)「対象地域における居酒屋のプロット結果」
学生さんの心の声(どこが対象かは本文みればわかるでしょ,自分がやったプロットの成果なんです!大変だったんです)←それはわかりますが,そういうものじゃない.
タイトル改善例)「神楽坂地域における居酒屋分布(2020年)」

草稿チェックって?

草稿チェックって,文章が変だったらセンセイが直してくれるんでしょ.だったら悩まずに送っちゃった方が楽じゃん
→怒りを抑えていいますが(笑),論文がまともに書けるというのは,皆さんが今後就職して仕事をしていく上での基本的なスキルです.残念なことにそれができている学生はそんなに多くない.
で,「人に文章を見てもらう」ときに,自分のできる限りの力を出し切って完成度を上げるのは最低限のマナーです.あんまり酷いものはチェックを入れずに見直しを命じます.

卒論草稿への総評的コメント(抜粋)

2020年度卒論生の草稿へのコメントの一部を抜粋しました(一部改変).こんなコメントが来ることを想定して,先回りして対応しておいてください.

論文とは,論拠となる情報を示して,丁寧に説得的に論を積み上げていくものです.
論文に取り組む上での基本的姿勢として,次のことに十分注意してください.
1)集めたデータの正当性:どのようにして集めたか,それが目的に対して正当で,偏ったor不十分な情報ではないという前提が確保されているか
2)データ加工の妥当性と再現性:目的達成に対して適切で,再現可能な方法によって加工されているかどうか
3)主張の妥当性:主張している考察内容が,データに基づいて説明されているか.
これらが論文の中に不足なく表現され,論理的な構造が明示されているかどうか
情報源や手順をはっきり示さないまま,「自分が把握していること」として書いてしまうのは論文としては致命的欠陥.
どのように調査を行い,どのような情報を得たのかを明示した上で,その内容をまとめ,それらに対してどのような操作を行ったのかがトレースできるように丁寧に記載すること.

論文の根拠となる情報は全て示す.今回については過去の空中写真.これはこの研究の根幹となる情報なので例示ではなく全部出すこと.多すぎれば巻末の補遺に資料として載せる.
「市街化」「宅地化」,「都市計画」「都市政策」などの用語の使い方に揺らぎがある.よく吟味して統一できるなら統一する,使い分けるなら事前に定義したうえで丁寧に使い分ける.

研究論文はやったことをその順に書いていくだけでは足りない.
なぜその研究をする必要があるのか(必要性と既往研究との関係),そのためにどういう方法を選ぶのか,どんなデータをどのように集める(作成する)のか,そのデータをもとにどんな加工をして何を読み取るのか,読み取った結果が研究目的に対する答えとして,既往研究にはなかったどんな新しい答えを導出したのか,背景に対して,なお残っている課題は何かについて説明する.

全体に用語が不正確なものが散見される.図表のタイトルについて,その内容を直接的に表すものにすること.

作業結果のデータを示すだけでは不十分.どのような元データから,どのような作業を経て成果を得たのかがトレースできるようにする必要がある.

はじめの方は論文らしい言葉遣いができていて良い.2章途中くらいから「やった作業の報告」や「調べてわかったこと」が整理できていなくて混乱してくる.
原稿を書く上では,この章(節)でやることが,どのような目的を持っているのか,ということを伝えた上で、研究としての作業の流れを正確に記述する.情報を集める段階,加工する段階,図化する段階,それを解釈する段階をよく意識して,記述を区別して書く.

図表のタイトルがイマイチなのは,これで何を伝えようとしているかが十分意識できておらず,やった作業にしか目がいっていないから.そこを切り替えてくれると多分全体的に良くなると思う.

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景観研究室M1の相澤航平さんと藤田景さんが第16回景観・デザイン研究発表会で優秀講演賞を受賞しました

2020年12月5日と6日に行われた第16回景観・デザイン研究発表会(リモート開催)で、景観研究室修士1年の相澤航平さんの発表「新聞・雑誌記事における景観概念の変遷に関する文体論的研究」、藤田景さんの発表「千代田区を対象とした古写真のアーカイブ化」が、優秀講演賞を受賞しました。2人とも卒論の内容をまとめたもので、学会投稿にあたり論文として新たにまとめ直し、発表時間が卒論審査会の7分から13分へと大幅に増えることについて構成から再検討しました。

学会クロージングセッションでの優秀講演者発表

新型コロナウイルス感染拡大防止のためリモート開催での学会参加でしたが、研究室メンバー(主に発表者)は市ヶ谷田町校舎の複数の教室を使い、感染防止と学会らしい参加の仕方を模索しました。

実は、この学会での景観研からの受賞は4年連続です。2017年は卒業生の平野香穂さん、2018年は卒業生の金子隼大さん、2019年は卒業生の堀川萌さんとM2の田中咲さんが受賞しました。卒業生は卒業論文に関する発表、M2は修士論文の中間成果に関する発表です。よい発表ができているのはEAの荻原知子さんに論文指導に加わってもらったことが大きいです。

景観・デザイン研究発表会の表彰ページ

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今季見学会シリーズ終了

毎年秋学期は研究室に新しく3年生を迎え、木曜午後を中心に見学会を実施しています。今年はコロナ禍のため東大景観研と共同開催している「東京の近代化遺産を巡る」見学会が中止になったり、見学会後の振り返り活動(懇親会ともいう)のほとんどを諦めなければならなかったり、景観・デザイン研究発表会への模型とパネル出展を見合わせたりと、いつも通りの活動はできませんでした。

それでも、小型船をチャーターしての日本橋川神田川隅田川見学会、横浜のアーバンデザイン見学会(横浜市都市デザイン室の桂有生さん解説)、羽田連絡橋建設現場見学会(川崎市の本田さん、五洋建設Jvの山本さん解説)、新虎通り・東京駅丸の内駅前広場・行幸通り見学会(小野寺康さん、南雲勝志さん解説)など、かなり豪華なプログラムで実施することができました。これに加えて26名の研究室在籍学生を4班に分け、個別に「先輩と行く東京周辺デザインサーベイ」も実施し、その成果を3年生が発表してくれる予定です。

今年は授業開講期が変更になり、3年生は秋学期にデザインスタジオでの設計演習、景観工学の基礎知識の座学、そして研究室の連続見学会が重なり、さらには12/4-6の第16回景観・デザイン研究発表会の聴講もありました。3年生にはいろいろと感じることが多かったようで、今後の成長が楽しみです。

船上見学会
横浜のアーバンデザイン見学会。うっかり見学風景を撮るのを忘れました。右端が桂さん。
新横浜市庁舎の敷地にあった航路標識管理所の基礎の位置を示す舗装の説明
できたばかりの横浜市新市庁舎の水辺
横浜・みなと大通りの社会実験「みっけるみなぶん」の歩道拡幅部を使ってみる
羽田連絡道路の現場。まだ陸地とつながっていないので船で現場へ。
羽田連絡橋の建設現場。橋の施工方法について説明を受けます。
新虎通り。設計者の小野寺康さんに説明を受けます。
新虎通りの照明柱のデザインについて、南雲勝志さんから駄洒落交じりに説明を受けます。
東京駅丸の内駅前広場。ここは集団でいると警備員が寄ってくるので居心地が悪い。
見学会シリーズの最後に行幸通りをバックに記念撮影
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渋谷

中高・大学教養課程と、10代に(私にもそんな時代が。)お世話になった渋谷のまち。溢れる情報量と雑踏の中の瞬間的進路判定の処理が億劫になってからはすっかり足が遠のいてしまいました。そうこうしているうちに、思い出の残る場所はお店も建物もことごとく無くなってしまいました。駅もどんどん改良されて、よく学校帰りや遊び帰りに使っていたJRの玉川改札も今日で閉鎖だというので、久しぶりに駅回りだけ一周してみてきました。

私の記憶の欠片があるとすれば、新島モヤイ像が辛うじてあるくらい。かなり寂しい。

このあとこの街で時間を過ごすひとたちにとって、ここでの記憶はどんな場所に紐付けられていくのだろう。それともネット社会の中ではもはや場所はそんな個人的な意味を引き受ける役割すら求められなくなるのだろうか。

今日、2年生と3年生の課題で万世橋橋詰広場の設計提案のエスキスをした。「サラリーマンが、街行く人が」という発言はあったが、自らの体験に引き寄せてまちに意味を見出している提案はほぼなかった。

教える側の責任でもある。

玉川改札は本日で閉鎖
右端にモヤイ像。約束の時間にピンポイントに待ち合わせ場所に来て人と会う。会えない時の不安感が懐かしい。
デパートの屋上の遊園地だと思えばそういうものかもしれない。
この「賑わい」は時間の蓄積に耐えるのか。
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豊田中央研究所への訪問と意見交換

先日,トヨタ自動車のグループ企業全体の研究所である豊田中央研究所の方からご連絡をいただきました.「景観について」どのような状況なのか知りたいということだったので,土木景観の全体像について情報提供し,意見交換をしてきました.豊田中央研究所では脳科学に関することから次世代モビリティまで幅広く研究をされているとのことで,景観との関係性もさまざまなことが考えられます.研究アプローチは違えど,都市のあり方や環境の中での人のくらしについて考えていることは同じですので,大いに知的刺激を受け,世界が広がりました.

豊田中央研究所のおしゃれなオフィスにて(一時的にマスクを外しています)

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2020年度研究室パンフレット完成

毎年恒例の法政大学景観研究室パンフレットが完成しました.今年もM1を中心に頑張ってくれて,かなり内容の厚みが増したように思います.

パンフレットは秋から研究室配属になる3年生へのPRと,お付き合いのある学内外の先生や研究室卒業生への活動報告のために発行しています.例年は3年生への研究室説明会で冊子体で配布するのですが,今年度はCOVID-19対応で説明会がリモート実施となってしまいました.そのため3年生へはこの投稿でpdf配布します.

このパンフレットは企画から制作まで研究室学生によるものです.指導教員である私がした作業は,文章や用語,誤字脱字のチェック,わかりにくいところの指摘などです.修論・卒論ページの研究紹介テキストについては短い文章で研究内容を説明するのはなかなか難しいので学生の原案をもとにかなり直しましたが,そのくらいです.

景観研の活動の中心が教員(福井)ではなく,学生にあることをわかりやすく示している例です.多くの3年生が興味を持ってくれることを期待します.

↓pdfファイルはこちらから↓

法政大学景観研究室パンフレット2020

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